去年使い切れなかった灯油が、物置に置きっぱなしになっている家は少なくないはずです。
「まだ半分以上残ってるし、もったいないから今シーズンも使おう」と考えている人は、一度立ち止まったほうがいいかもしれません。
灯油は思っている以上に劣化しやすく、去年の灯油を使うことは基本的にすすめられていません。
今回は、なぜ持ち越した灯油が危険なのか、正しい保管の仕方まで整理しました。
灯油は「揮発性が高い」ぶん、変質も早い
灯油は揮発性の高い成分でできているため、直射日光や高温にさらされると、成分が変質しやすい性質を持っています。
使い切れずに夏を越した灯油は、屋外や物置の高温にさらされ続けた結果、知らないうちに劣化が進んでいることが多いです。
灯油業界では、開封後の使用期限の目安をおよそ6ヶ月としているところが多く、これはワンシーズンで使い切ることを前提にした数字です。
劣化した灯油の、意外と怖い実害
「劣化した灯油を使ったら燃えが悪いだけ」と思うかもしれませんが、実際のリスクはもう少し深刻です。
芯を燃やすタイプの石油ストーブで劣化した灯油を使うと、変質した成分が芯にこびりついて固着し、芯が正常に下がらなくなることがあります。
芯が下がらないと、消火の操作をしても火が消えなくなる場合があり、万が一ストーブが転倒するようなことがあれば、そのまま燃焼が続いてしまう危険性があります。
「もったいないから」で持ち越した灯油が、いざという時の消火不能という形で跳ね返ってくる可能性がある、というのは知っておいたほうがいい事実です。
色やにおいが変わるのは、こういう化学変化が起きているから
灯油は、炭化水素という成分を中心にできています。
この炭化水素が空気中の酸素とゆっくり反応すると、カルボン酸やケトン、アルコールといった、もとの灯油にはなかった物質に変化していきます。
酸化がさらに進むと、これらの物質同士がくっつき合って分子が大きくなり、ワニスやスラッジと呼ばれる、水にも油にも溶けにくいドロッとした不純物になります。
灯油が黄色っぽく色づいたり、刺激臭が強くなったりするのは、この化学変化がすでに進んでいるサインです。
芯式ストーブの芯に固着してしまうのも、まさにこのワニス・スラッジが正体で、灯油そのものが「腐る」というより、「酸化してドロドロの別物に変わっていく」とイメージすると分かりやすいです。
日本国内で販売されている灯油は、JIS K 2203という品質規格で硫黄分などの上限が定められていますが、これはあくまで出荷時点の品質基準であって、購入後の保管中の酸化までは防いでくれません。
古い灯油かどうかの見分け方
去年の灯油が残っている場合、まず色とにおいを確認してみてください。
新しい灯油は無色透明に近い色をしていますが、劣化が進むと黄色っぽく色づいたり、酸化独特の刺激臭が強くなったりします。
ポリタンクを日の当たる屋外や高温になる場所に置いていた場合は、見た目に変化がなくても、劣化が進んでいる可能性を疑ったほうが安全です。
少しでも怪しいと感じたら、無理に使い切ろうとせず、購入したガソリンスタンドや灯油販売店に処分方法を相談するのが確実です。
次のシーズンに向けた、正しい保管の仕方
これから灯油を買う、あるいはシーズン終わりに保管する際は、劣化を遅らせる置き方を意識しておくと無駄が減ります。
直射日光が当たらず、温度変化が少ない、屋内の物置や北側の軒下のような場所に保管するのが基本です。
灯油用のポリタンク自体にも寿命があり、紫外線や経年劣化でひび割れが起きることがあるため、購入からおよそ5年を目安に、容器自体の状態も確認しておくと安心です。
理想は、シーズン中に使う分だけをこまめに買い足して、翌年に持ち越さないようにすることです。
「余らせない量を買う」という発想に切り替えるだけで、劣化した灯油を巡るリスクそのものを避けられます。



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